大切な友人や親戚の出産報告は、自分のことのように嬉しいものですよね。心からのお祝いの気持ちを伝えるために、出産祝いを贈りたいけれど、「現金って失礼じゃないかな?」「ご祝儀袋へのお金の入れ方や書き方に、細かいマナーがありそうで不安…」と感じていませんか?せっかくのお祝いですから、マナー違反で相手に気を遣わせてしまうのは避けたいものです。本記事では、そんなあなたの不安を解消するために、出産祝いのお金の入れ方に関する全ての情報を、分かりやすく徹底解説します。ご祝儀袋の選び方から新札の向き、正しい包み方、渡し方のマナーまで、これを読めばもう迷うことはありません。
【図解】これだけは押さえたい!出産祝いのお金の正しい入れ方

出産祝いとして現金を贈る際、最も気になるのが「お金の入れ方」ではないでしょうか。ここでは、ご祝儀袋の準備からお札を包むまでの一連の流れを、4つのステップに分けて図解のように分かりやすく解説します。この手順通りに進めれば、マナーの心配は無用です。
- ステップ1:お祝いにふさわしい「ご祝儀袋」を選ぶ
- ステップ2:必ず「新札」を準備する
- ステップ3:お札の向きを揃えて「中袋」に入れる
- ステップ4:「上包み」で正しく包む
ステップ1:お祝いにふさわしい「ご祝儀袋」を選ぶ
まず初めに、出産祝いに適したご祝儀袋を選びましょう。ご祝儀袋には様々な種類がありますが、ポイントは「水引(みずひき)」の種類です。
出産は何度あっても喜ばしいお祝い事なので、「紅白の蝶結び(花結び)」の水引がついたものを選びます。 蝶結びは、何度も結び直せることから「繰り返されても嬉しいお祝い事」に使われるのです。 一方、結婚祝いなどで使われる「結び切り」や「あわじ結び」は、「一度きりであってほしい」という意味合いを持つため、出産祝いには不適切なので注意してください。
水引の本数は、一般的に5本のものを選びます。 包む金額が3万円以上と高額になる場合は、7本の水引を選ぶとより丁寧な印象になります。 また、ご祝儀袋のデザインは、包む金額とのバランスを考えるのがマナーです。 5,000円程度を包むのに豪華すぎる袋は不釣り合いですし、逆に高額を包むのに簡素な袋では失礼にあたります。贈る金額に合った格のご祝儀袋を選びましょう。
ステップ2:必ず「新札」を準備する
お祝い事で現金を包む際は、「新札(しんさつ)」を用意するのが基本中の基本マナーです。 新札とは、まだ誰も使っていない、折り目のないきれいなお札のこと。これは、「赤ちゃんの誕生という新しい門出を、心待ちにしていました」という祝福の気持ちを表すためです。
新札は、銀行の窓口や両替機で手に入れることができます。 平日の日中に銀行へ行く時間がない場合は、事前に準備しておくことが大切です。もし、どうしても新札が用意できなかった場合は、できるだけシワや汚れのない綺麗なお札(ピン札)を選びましょう。 アイロンをかけてシワを伸ばすという方法もありますが、新札を用意するのが最も丁寧な方法です。
ステップ3:お札の向きを揃えて「中袋」に入れる
新札を準備したら、次はいよいよお金を中袋(なかぶくろ)に入れていきます。この時、お札の向きを全て揃えることが非常に重要です。
中袋の表側(金額などを書く面)にお札の肖像画(顔が描かれている面)がくるようにし、さらに肖像画が上になるように入れます。 こうすることで、相手が中袋からお金を取り出したときに、すぐに肖像画が見える状態になります。これは慶事(お祝い事)の際のマナーであり、弔事(お悔やみ事)では逆になるため、絶対に間違えないようにしましょう。
複数枚のお札を入れる場合も、全て同じ向きに揃えて重ねてから中袋に入れます。お祝いの気持ちがきちんと伝わるよう、細部まで心を配りましょう。
ステップ4:「上包み」で正しく包む
お金を入れた中袋を、最後に上包み(うわづつみ)で包みます。上包みとは、水引などがついている外側の華やかな包みのことです。
上包みの裏側は、折り返しが重なっています。この重ね方にもマナーがあります。お祝い事の場合は、下側の折り返しが上になるように重ねます。 これは、「幸せや喜びが天から降り注ぎ、受け止められますように」という意味が込められています。「慶びで上を向く」と覚えると分かりやすいかもしれません。
逆に、上側の折り返しが上に来るように重ねるのは、弔事の際の包み方で「悲しみにうつむく」という意味合いになってしまうため、注意が必要です。せっかくのお祝いムードを壊さないよう、最後の最後まで気を抜かずに丁寧に包みましょう。
恥をかかないためのご祝儀袋の書き方完全マニュアル

ご祝儀袋の準備ができたら、次は表書きや中袋に必要事項を記入していきます。ここでも守るべきマナーがいくつかあります。相手に失礼のないよう、正しい書き方をマスターしましょう。
- 「表書き」の書き方(御祝・名前)
- 「中袋」の書き方(金額・住所・氏名)
- 使う筆記用具は毛筆か筆ペンで
「表書き」の書き方(御祝・名前)
まず、ご祝儀袋の顔ともいえる「表書き」です。水引の上段中央に、贈り物の目的を書きます。出産祝いの場合は、「御祝」や「御出産御祝」と書くのが一般的です。 4文字の表書き(例:「出産御祝」)は「死文字」を連想させ縁起が悪いと考える方もいるため、避けた方が無難でしょう。
次に、水引の下段中央に、贈り主であるあなたの名前をフルネームで書きます。このとき、上段の「御祝」などの文字よりも少し小さめに書くと、全体のバランスが美しく見えます。
夫婦連名で贈る場合は、中央に夫のフルネームを書き、その左側に妻の名前(苗字は省略)を書きます。 職場や友人同士など3名までの連名であれば、役職や年齢が上の人を右から順に書いていきます。4名以上になる場合は、代表者の名前を中央に書き、その左側に「外一同(他一同)」と書き添え、全員の名前を書いた紙を中袋に同封するのがスマートです。
「中袋」の書き方(金額・住所・氏名)
中袋には、包んだ金額とあなたの住所・氏名を記入します。これは、受け取った相手がお返し(内祝い)の準備をする際に必要な情報となるため、必ず正確に書きましょう。
中袋の表面中央には、包んだ金額を縦書きで記入します。このとき、数字は「一、二、三」のような漢数字ではなく、「壱、弐、参」といった旧字体の漢数字(大字)を用いるのが正式なマナーです。 これは、後から金額を改ざんされるのを防ぐためです。例えば、1万円なら「金壱萬圓」、3万円なら「金参萬圓」と書きます。
そして、中袋の裏面の左下には、あなたの住所と氏名を記入します。 郵便番号も忘れずに書きましょう。表書きに名前を書いたからといって、中袋の情報を省略してはいけません。相手への配慮として、丁寧に記入することを心がけてください。
使う筆記用具は毛筆か筆ペンで
ご祝儀袋に文字を書く際は、ボールペンや万年筆、サインペンを使うのはマナー違反です。 必ず、毛筆または筆ペンを使用しましょう。
墨の色にも注意が必要です。お祝い事には「濃い墨」を使います。 薄い墨は、お悔やみ事の際に「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」という意味合いで使われるものなので、出産祝いには絶対に使わないでください。文字を書くのが苦手な方でも、心を込めて丁寧に書くことが何よりも大切です。最近では、表書きや名前を代筆してくれるサービスや、スタンプなどもあるので、上手に活用するのも良いでしょう。
そもそも出産祝いにお金はあり?気になる金額相場

「お祝いに現金を贈るのは、なんだか味気ないかな?」「品物の方が喜ばれるのでは?」と悩む方もいるかもしれません。しかし、結論から言うと、出産祝いに現金を贈ることは決してマナー違反ではありません。むしろ、喜ばれることが多い選択肢の一つです。
- 現金を贈るのはマナー違反じゃない!
- 関係性別の金額相場一覧表
現金を贈るのはマナー違反じゃない!
出産後は、ベビーベッドやベビーカー、おむつ代など、何かと物入りな時期です。そのため、パパやママが自分たちの必要なタイミングで、好きなものを購入できる現金は非常に実用的で助かるという声が多く聞かれます。
もちろん、相手の好みを考えて選んだプレゼントも素敵ですが、「他の人から同じものをもらってしまった」「ベビーグッズの好みが合わなかった」ということも起こり得ます。その点、現金であればそうした心配がありません。相手の負担を考え、本当に喜んでもらえるものを贈りたいという気持ちの表れとして、自信を持って現金を贈って大丈夫です。
関係性別の金額相場一覧表
出産祝いに包む金額は、贈る相手との関係性によって変わってきます。 あまりに高額すぎると相手がお返しに困ってしまいますし、少なすぎても失礼にあたる可能性があります。 以下の相場を参考にして、適切な金額を決めましょう。
贈る相手 | 金額相場 |
---|---|
友人・知人 | 3,000円~10,000円 |
会社の同僚・部下 | 3,000円~5,000円 |
会社の上司・先輩 | 5,000円~10,000円 |
兄弟・姉妹 | 10,000円~30,000円 |
いとこ・姪・甥など親戚 | 5,000円~30,000円 |
自分の子ども・孫 | 30,000円~100,000円 |
これはあくまで目安です。ご自身の年齢や経済状況、日頃のお付き合いの深さなどを考慮して、無理のない範囲でお祝いの気持ちを表すことが大切です。
いつ、どうやって渡す?出産祝いを贈るタイミングと方法

お祝いの準備が整ったら、あとは渡すだけです。しかし、渡すタイミングや方法にも配慮が必要です。産後のママと赤ちゃんの負担にならないように、マナーを守ってスマートにお祝いを届けましょう。
- 直接手渡しする場合のマナー
- 郵送(現金書留)で送る場合のマナー
直接手渡しする場合のマナー
出産祝いを渡すタイミングは、生後7日目のお七夜から、生後1ヶ月のお宮参りまでの間が一般的とされています。 しかし、産後すぐは母子ともに体調が不安定な時期。 退院後、生活が少し落ち着いた産後2~3週間頃に伺うのがベストタイミングと言えるでしょう。
訪問する際は、必ず事前に相手の都合を確認します。 当日も「これから伺っても大丈夫?」と再確認するとより親切です。産院へ押しかけるのは、感染症のリスクや他の入院患者さんへの配慮から、基本的にはNGです。
訪問したら、長居は禁物。お祝いの言葉を伝えて、ご祝儀袋を渡したら、早めに失礼するのがマナーです。ご祝儀袋は、そのまま裸で渡すのではなく、袱紗(ふくさ)に包んで持参し、渡す直前に取り出して両手で差し出しましょう。
郵送(現金書留)で送る場合のマナー
遠方に住んでいる場合や、相手の都合がなかなかつかない場合は、郵送でお祝いを贈るのも良い方法です。ただし、現金を普通郵便や宅配便で送ることは法律で禁止されています。 必ず郵便局の「現金書留」を利用してください。
現金書留で送る手順は以下の通りです。
- 郵便局で現金書留専用の封筒(1枚21円)を購入する。
- ご祝儀袋にお金を入れた状態で、現金書留封筒に入れる。
- 封筒に届け先と差出人の住所・氏名・電話番号を記入する。
- 郵便局の窓口で手続きをし、送料と書留料を支払う。
現金書留を送る際、お祝いのメッセージカードを同封すると、より気持ちが伝わります。 「ご出産おめでとう!落ち着いたら赤ちゃんの顔を見せてね」など、温かい言葉を添えて贈りましょう。
よくある質問

新札が用意できないときはどうすればいい?
結婚式などとは異なり、出産祝いの場合は必ずしも新札でなければマナー違反というほど厳しくはありません。もし銀行の営業時間内に新札を用意するのが難しい場合は、できるだけ折り目やシワのないきれいな「ピン札」を選んで包みましょう。ATMで現金を引き出す際に、比較的新しいお札が出てくることが多いので試してみるのも一つの手です。最終手段として、アイロンをかけてシワを伸ばす方法もありますが、その際は低温で当て布をするなど、お札を傷めないように注意してください。一番大切なのは、お祝いする気持ちです。
中袋がないご祝儀袋の場合は?
最近ではデザイン性の高いご祝儀袋など、中袋が付属していないタイプのものもあります。 その場合、お札を直接上包みに入れるのは少しはばかられます。そんな時は、半紙やきれいな白いコピー用紙などでお札を包んでから上包みに入れると丁寧な印象になります。 これを「中包み」と言います。お札を包んだら、表に金額、裏に住所と氏名を記入します。中袋がないからといって、そのまま入れるのではなく、ひと手間加える心遣いが大切です。
兄弟や友人と連名で贈るときの書き方は?
連名で贈る場合の表書きの書き方は、人数によって異なります。
- 2~3名の場合:水引の下の中央に、役職や年齢が一番上の人の名前を右側に書き、そこから左へ順に並べて書きます。友人同士など特に序列がない場合は、五十音順で書くと良いでしょう。
- 4名以上の場合:全員の名前を書くとごちゃごちゃしてしまうため、代表者1名の名前を中央に書き、その左下に「外一同(他一同)」と少し小さめに書き添えます。そして、全員の氏名と住所、各自が包んだ金額を記載した紙(奉書紙や白い便箋など)を別途用意し、中袋に同封します。 これにより、お返しをする相手側の負担を減らすことができます。
4万円や9万円など縁起の悪い金額は避けるべき?
はい、避けるべきです。日本では昔から、数字の「4」は「死」を、「9」は「苦」を連想させるため、お祝い事では忌み数(いみかず)として避けられてきました。 出産祝いに現金を包む際も、4万円、9万円といった金額は避けるのがマナーです。また、お札の枚数も奇数が良いとされていますが、2万円は「ペア」を意味し問題ないとされることが多いです。もし2万円を包む場合は、1万円札1枚と5千円札2枚にするなど、お札の枚数を奇数(3枚)にする工夫をすると、より丁寧な印象になります。
メッセージカードはどこに入れたらいい?
お祝いの気持ちをより伝えるために、メッセージカードを添えるのはとても素敵な心遣いです。メッセージカードは、ご祝儀袋の中袋と上包みの間に入れるのが一般的です。お金と直接触れないように配慮しつつ、相手がご祝儀袋を開けたときに自然と目に入る場所が良いでしょう。現金書留で送る場合は、ご祝儀袋と一緒に現金書留用の封筒に同封します。 メッセージには、赤ちゃんの誕生を祝福する言葉と、ママの体を気遣う言葉を添えると、温かい気持ちが伝わります。
まとめ

- 出産祝いのお金は「蝶結び」の水引のご祝儀袋に入れる。
- お札は必ず「新札」を用意するのが基本マナー。
- お札の向きは肖像画を上にして中袋の表に向ける。
- 上包みは「下側の折り返し」が上になるように包む。
- 表書きは毛筆か筆ペンで「御祝」「御出産御祝」と書く。
- 中袋には金額(旧字体)・住所・氏名を正確に記入する。
- 金額相場は相手との関係性によって3,000円から10万円以上と幅広い。
- 「4」や「9」のつく縁起の悪い金額は避ける。
- 渡すタイミングは産後2~3週間後がベスト。
- 訪問する際は必ず事前に連絡し、長居はしない。
- 郵送する場合は必ず「現金書留」を利用する。
- 現金書留にはメッセージカードを同封すると喜ばれる。
- 中袋がない場合は白い紙でお札を包むと丁寧。
- 連名は3名までなら並べて書き、4名以上は「外一同」とする。
- マナーも大切だが、一番は心からお祝いする気持ち。
